2012年11月15日木曜日

イベント成功のルール(3)対話

「仲間」と「ニュース」を生み出す「対話」イベント

 ここにあげた二つの事例は、誰もが知っている人気企業、人気商品だけに、遠い話と受け止められるかも知れません。しかし、GT-Rのような全国ネットのテレビがとりあげるニュースや、アップルのように全世界の仲間が共有するイベントではなくとも、一店舗の顧客に向けたニュース発信や仲間づくり、展示会の来場者に向けたニュース発信や仲間づくりを考えることはどの企業にとってもリアルな課題です。
 そうしたイベントを具体化していくキーワードが「対話」です。「対話」とは一方的な説明でなく、顧客の声に耳を傾けることであり、そうした機会、場、雰囲気をつくります。
 顧客と「仲間」として「対話」すること
 仲間としての対話そのものを「ニュース」とすること
 これが「対話イベント」の基本的な要諦です。

 「対話イベント」の具体的な方法を考えてみましょう。
・    サンプリングイベント(商品試用体験会)
・    プロを呼んでの体験セミナー
これらは、イベント体験を通して顧客の越えに耳を傾ける「対話」イベントの代表的な手法です。しかも関心のある顧客にとって、そうしたイベントは、「仲間」と楽しむことのできる、ある驚きを備えたニュースとして受け止められます。何も社会的な話題ばかりがニュースではありません。
これらを店舗の付加価値としてシステム化したものがカリスマ店員といえるでしょう。カリスマ店員は店に「驚き」を与え、ニュースとする効果的な手法です。あるいは、より身近な事例では、衣料品のGAPでは店内の顧客に店員が「こんにちは」と声をかけます。これも顧客を仲間として扱う「イベント演出」の一つといっていいと思います。
こうした直接的な対話ばかりではありません。アンケート、人気投票、売れ行き数字(ランキング)、これらも顧客の意見そのものであり、それを集めて発表するイベントも「対話」イベントの一つの形です。さらに、コンテストやランキング評価はニュースとなりやすいこところが重要です。
例えば、本屋の店員さんの投票で決める「本屋大賞」は、店員と顧客との仲間意識をベースに、人気投票(コンテスト)という「対話」イベントをうまく使ったプロモーションの事例と思います。それまで本の賞といえば、高名な専門家が審査員となるものでした。しかし本屋大賞の本屋の定員さんは、いわば私たちの「仲間」です。ここがミソです。そして多くの書店では、本屋大賞発表と店舗の売上ランキング発表(ディスプレイ)のあわせ技によるニュース効果で店舗の情報化をはかっています。

 「ニュース」とは「驚き」です。狙いとするターゲット、市場、顧客に、「対話」イベントを素材として「驚き」を示すことが肝要です。そのポイントとして私は、「わかりやすい」「見えやすい」という二つの要素をあげたいと思います。実はこの「わかりやすい」「見えやすい」ということは、イベントの特性そのものなのです。
ここであげたカリスマ店員(著名キャラクター)、コンテスト、ランキングといった手法は「わかりやすい」「見えやすい」イベントをつくる代表的な方策です。
 本屋の店員さんの投票で決める「本屋大賞」は、本を評価するうえで実に「わかりやすい」「見えやすい」手法であり、日産自動車のトンネルを使ってのゴージャスなイベントも、手法は異なりますが、ゴージャスなスポーツカーの発表イベントとして、「わかりやすい」「見えやすい」という点で同様と思います。
本屋大賞は業界全体の取組みですが、一企業、一店舗でも同様な手法は可能と考えます。店員と顧客とパティシエが選んだベストテンの発表イベントを毎月末行う話題のスイーツ店などはどこかにありそうな気がしますが、いかがでしょうか。
 例えば展示会での新製品発表も、一方的なプレゼンテーションステージと製品展示から一歩踏み込み、サンプリングとその道のプロを招いての体験セミナーをミックスする、といった手法を加えれば、ニュース性を備えた「対話」イベントとしてより高い効果が得られると思います。
 今年の3月19日から22日まで、東京ビッグサイトで開催された「フォト イメージング エキスポ 2008」では、ソニーが高級カメラ「α」のサンプリングを前面に押し出した演出で人気を博していました。その後の売れ行きも好調です。キヤノンもサンプリング(触らせる)と講師を招いてのセミナーを柱として集客をはかっていました。

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