2012年11月15日木曜日

イベント成功のルール(4)イベントマーケティングマップ

効果的なイベントとは何か

 これまで「ニュース」「仲間」「対話」という三つのキーワードで、イベントを成功に導く要素を説明してきました。どのようなイベントであれ、その企画立案にあたっては、この三つの視点からアプローチしていくことが肝要と考えます。
・    どうしたら仲間としてのコミュニケーションがはかれるのか
・    どうしたら、ターゲットに驚きを与えられるのか
・    どうしたら対話を話題にできるのか
を一つ一つ考えていく必要があります。

 そうした指摘のうえで、最後のまとめとして、目的に応じたイベントの分類方法を紹介します。イベントの企画にあたって目的の設定が重要であることはいうまでもありませんが、では、どのようにして目的を設定し、目的に合ったイベントの手法を選択するのでしょうか。
ここでは、「イベントにより、顧客との距離をちぢめていく=仲間としての関係を強固なもとしていく」というCRM(Customer Relation Management)の考えに立って整理をします。下の図をご覧ください。
 ここでは企業と顧客との関係を次のようなストーリーとして捉えています。(横軸)
 ①匿名顧客   まだ接点のない状態
 ②潜在顧客   イベントにより接点をもった状態
 ③期待顧客   顧客から商品を調べるなどの関心が芽生えた状態
 ④購入検討顧客 具体的な購入検討を行う状態
 ⑤購入顧客   購入を行った状態
 ⑥リピーター  複数回購入を行った状態
 ⑦優良顧客   企業、商品への高い信頼を得た状態
 匿名顧客をいかに優良顧客にするか、それを目的の基本軸としています。
縦軸では、「購入促進」に重点をおくものと、「イメージ向上」に重点をおくものとに区分しています。

 いまだ接点のない匿名顧客を潜在顧客にするためには、顧客はこちらの存在を認知していない状態ですから、ともかく覚えてもらうことが目的となります。例えば環境問題や地域開発、健康など、一般に関心の高い要素に的をしぼったメセナイベントなどが有効と考えます。当方への関心を訴求する以前に、先方の関心にアピールする手法です。
 あるいは、展示会でメールアドレス(名刺)獲得に傾注し、メルマガなどによる情報発信で初期段階の認知をはかりましょう。展示会で接点を得た顧客にメールで呼びかけ、自社のショールームに導くことを目標とする企業もあります。展示会では思うようにできなかった対話イベントをショールームで実施するという方法もあるでしょう。
 期待顧客は、当方への関心が芽生えている状態ですので、メルマガにも何らかの反応を期待したいところです。
 購入検討段階となりますと、当方への関心、知識もある程度はあり、こちらの呼びかけにも耳を傾けられる段階です。ここでは、例えばサンプリング(体験イベント)を核としたプライベートショーで、顧客の声に耳を傾け、仲間意識醸成をはかり、購入してリピーターへと育成していきます。

 店頭でのサンプリングイベントも考えられます。
 ここでは購入はイコール「会員化」と考えます。会員とは仲間のスタートです。そして、会員メンバーのセミナーやワークショップなど、会員相互のより密度の高い共有体験により、仲間意識を高めます。たとえば商品のフアンクラブの運営などは、その代表的な事例といえます。
 クルマ、カメラ、ファッション、食など、趣味性の高い商品については、会員化と会員によるフアンイベントというのは、検討に値する方法と考えます。
 そして、最終的には、VIP顧客への優待イベントや優待販売会などにより、その関係を磐石のものとしていきます。これが顧客との関係づくりのゴールとなります。
もちろんこの「対話」イベントのポジションマップは概念的なものであり、企画発想への道案内以上のものではありませんが、どのような目的でどのようなイベントを実施するか、発想の補助になれば幸いです。
特にこのマップをベースにして、手つかずなイベントを洗い出してみるのもいいでしょう。例えば多くの企業にとって「メセナ」はなじみがないかもしれませんが、顧客の関心対象を架け橋として、顧客との仲間関係の構築をスタートする有効な方法でもあります。
例えばこの4月19日、20日に開催された環境イベントのアースデイ東京には、多くの企業が協賛し、展示出店も行っています。しかもアースデイにはマスコミ関係者も多く訪れますので、その方面でのPR効果も期待できます。ここでアピールできるのは、地球環境保護に向けた企業と顧客との仲間意識づくりの醸成です。
まず、このマップでポジションのイメージをつかみ、「ニュース」づくりと「仲間」づくりを目標に「対話」を具体化していくことが、イベントを成功に導く基本的な方法と考えます。






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